その頭痛、放っておいて大丈夫?脳出血の危険サインと早期発見の重要性

朝晩の冷え込みが強まり、体調の変化を感じやすいこの時期、テレビやSNSでも「寒暖差による体調不良」や「血圧の変動」に関する話題を目にする機会が増えています。

季節の変わり目は血圧が乱れやすく、特に高血圧や脳血管疾患への注意が呼びかけられています。
こうした中で、見逃してはいけないのが「脳出血」のサインです。

「いつもより強い頭痛がする」「急に手足がしびれた」――そんな症状を感じたとき、つい「疲れかな」「寝不足かも」と考えてしまうことがあります。
しかし、その症状が脳出血のサインである場合もあり、放っておくと命に関わることもあります。
特に、気温の変化が大きいこの時期は、血管が収縮して血圧が上がりやすく、脳出血の発症リスクも高まります。

そこで今回は、脳出血の原因や症状に加えて、早期に検査を受けることの重要性についてもお話ししていきます。ご自身やご家族の健康を守るためにも、ぜひ最後までご覧ください。

 

脳出血のしくみと原因

脳出血は、脳の中の血管が破れて脳内に出血が起こる病気です。
出血した血液が周囲の脳を圧迫し、意識障害や手足のまひ、言葉の障害など、さまざまな神経症状を引き起こします。

発症すると進行が早く、いかに早く異変に気づき、医療機関を受診できるかが、その後の回復に大きく影響します。

原因として最も多いのは、長年の高血圧による血管のダメージです。
血圧が高い状態が続くと、脳の細い血管の壁がもろくなり、ちょっとした血圧変動でも破れやすくなってしまいます。

そのほか、脳動脈瘤の破裂、頭部外傷、抗血小板薬・抗凝固薬の服用、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病もリスクを高めます。
さらに、喫煙や過度の飲酒、睡眠不足、ストレスなども血圧上昇の原因となるため、日常生活での注意が大切です。

 

見逃せない脳出血のサイン

脳出血は、出血した部位や量によって症状が異なります。初期に見られることが多いサインには、次のようなものがあります。

  • バットで殴られたような突然の強い頭痛
  • 片側の手足のしびれや力が入らない
  • ろれつが回らない、言葉が出にくい
  • 視野が欠ける、物が二重に見える
  • 意識がもうろうとする、急に倒れる

これらの症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。
時間が経つほど脳へのダメージが広がり、後遺症のリスクも高まります。

 

「少し様子を見よう」が重症化につながることも

脳出血は、発症から短い時間で症状が進行することの多い病気です。
最初は軽い頭痛やしびれだけだったのが、数分から数時間のうちに意識障害や手足の麻痺(まひ)へと悪化することもあります。

そのため、「もう少し様子を見よう」「明日になったら治るかも」と判断してしまうことが、結果的に重症化や後遺症につながることがあります。

一方で、早期に出血の有無や範囲を確認できれば、適切な治療を迅速に行うことができ、脳へのダメージを最小限に抑えることが可能です。
出血の場所や広がりによっては、手術が必要なケースもありますが、早期発見によって保存的治療(薬や点滴での安静管理)で済む場合も少なくありません。

また、脳出血と似た症状を示す「脳梗塞」や「くも膜下出血」との正確な鑑別にも、早期の検査が欠かせません。
症状だけで判断するのは難しいため、画像検査で状態を把握することが非常に重要です。

その際に重要な役割を果たすのが、頭部CT検査です。

 

頭部CT検査とは?

頭部CT検査(コンピューター断層撮影)は、X線を使って脳の断面を撮影し、内部の状態を詳しく調べる検査です。
MRIと比べると撮影時間が短く、緊急時でもすぐに結果を確認できるため、突然の頭痛や意識障害などの際には最初に行う検査として広く用いられています。

検査中は寝台に横になるだけで痛みもなく、体への負担もほとんどありません。
撮影時間はわずか数分ほどで、放射線の被ばく量もごく少なく、安全に受けられるのが特徴です。

 

検査で確認できる脳の異常

CT検査では、脳内の出血の有無やその範囲、血腫(血のかたまり)の大きさ、脳のむくみなどを正確に確認できます。
これにより、医師は治療方針を迅速に判断でき、後遺症のリスクを最小限に抑えることが可能です。

また、脳出血だけでなく、脳梗塞や外傷、腫瘍などの異常も発見できるため、脳全体の健康状態を早期に把握することができます。

さらに、検査を受けることで、次のようなメリットもあります。

  • 異常がなければ安心して日常生活に戻れる
  • 高血圧や生活習慣病がある場合は、定期チェックとして将来のリスク管理に役立つ
  • 万が一異常が見つかれば、すぐに治療方針を立てて対応できる

このように、CT検査で脳の状態を確認しておくことで、早期発見・早期治療につながるほか、異常がなかった場合でも将来のリスク管理に役立ち、安心して日常生活を送ることができます。

 

まとめ

脳出血は突然発症することもあり、症状の進行が早いため、早期に気づくことが非常に重要です。

「いつもと違う頭痛」や「手足のしびれ」、「言葉が出にくい」などの症状があった場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診することが安大切です。

当院でも頭部CT検査を行っております。
「いつもと違う」と感じたら、ためらわずに受診・ご相談ください。

ご自身やご家族の健康を守るためにも、少しでも不安を感じた際は早めの受診・検査を心がけましょう。

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