眼底検査＝目だけじゃない？内科疾患との意外なつながり

「眼底検査」と聞くと、”目の病気を調べる検査”というイメージが強いかもしれません。
しかし実は、目だけでなく、高血圧や糖尿病、動脈硬化など、体の健康状態を知る手がかりにもなる検査です。

眼底には、体の中でも数少ない「血管を直接観察できる場所」があり、その変化から全身の血管や血流の状態を推測できることがあります。

そこで今回のブログでは、眼底検査と内科疾患の関係や、具体的な内科疾患のサインなどについてわかりやすくご紹介します。　

眼底検査とは？

眼底検査は、目の奥にある網膜や視神経、網膜血管の状態を観察する検査です。

専用のカメラで撮影し、医師が画像を確認することで、異常の有無や血管の状態を評価できます。
痛みはなく、短時間で終わり、画像で結果を確認できるのが特徴です。

眼底の血管は非常に細く、かつ全身の血管と同じように血圧や血糖の影響を受けやすく、その変化が非常に現れやすい場所です。
そのため、血管に負担がかかる状態が続くと、以下のような変化が眼底に現れることがあります。

これらの変化は、目の異常だけでなく、高血圧や糖尿病、動脈硬化などの全身の血管の状態を映し出すサインになることがあります。
そのため、眼底の血管は「全身の血管の鏡」とも言われており、眼底を観察することで体の中で見えない血管の健康状態を間接的に知ることができるのです。

内科疾患の中には、自覚症状がほとんどなく進行するものも多く、気づいた時には合併症が出ていることもあります。
眼底の血管の変化を観察することで、体の中で起きている変化をより早い段階で捉えることができます。

具体的には、次のようなメリットがあります。

高血圧が続くと血管に負担がかかり、眼底の血管が狭くなったり出血がみられたりすることがあります。
眼底の変化は「高血圧の進行度」や「全身の血管への影響」を判断する材料にもなります。

〈眼底で見える主なサイン〉
・細い血管（細動脈）が狭くなる
・血管が曲がる（蛇行）
・小さな出血や白い斑点
・動脈と静脈が交わる部分の変化（AV交叉現象）

糖尿病では、血糖値が高い状態が続くことで細い血管がダメージを受けやすくなります。
眼底の変化は、自覚症状が出る前から現れることも多く、糖尿病網膜症の早期発見に有用な検査です。

〈眼底で見える主なサイン〉
・毛細血管の膨らみ（マイクロアニュリズム）
・小さな出血
・白斑（白いスポットのような所見）
・新しく弱い血管（新生血管）が生える

全身の血管が硬くなる動脈硬化は、眼底の血管にも特徴的な変化として現れることがあります。
眼底検査は、全身の血管状態を“外から直接見られる”数少ない方法です。

〈眼底で見える主なサイン〉
・血管のカーブや太さの変化
・血流の影響による色調の変化
・動脈と静脈の交差部分の異常

脂質のバランスが崩れると、血管の壁に負担がかかりやすくなります。
眼底では、こうした血管の“負担”が反映されることがあり、生活習慣病全体の管理にも役立ちます。

〈眼底で見える主なサイン〉
・血管壁の光り方の変化
・動脈の太さの変化
・血流の変化を示す色調の変化

腎臓と網膜の血管は構造が似ており、腎機能が低下した場合、眼底にも似た変化が現れることがあります。
そのため、腎臓病の管理の一環として眼底検査が役立つことがあります。

〈眼底で見える主なサイン〉
・血管の太さの変化
・小さな出血
・白斑
・血管の走行の変化

このほかにも、健康診断で血圧・血糖・脂質などの値に異常を指摘された場合や、頭痛・めまい・むくみなど、原因がはっきりしない全身症状が続く場合には、体の血管に早期の変化が起きていないかを確認する目的で、眼底検査が役立つことがあります。

眼底検査は「目の病気の検査」にとどまらず、高血圧・糖尿病・動脈硬化など、全身の血管の状態を知る手がかりになる重要な検査です。
自覚症状がなくても変化が見つかることがあるため、生活習慣病の管理や合併症の予防にも役立ちます。

当院でも、内科診療の一環として眼底検査を実施しております。
健康状態が気になる方や検査の必要性について知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

目の中の小さな変化を知ることが、体全体の健康を守るヒントになることがあります。
日頃の健康チェックの一つとして、眼底検査をご活用ください。