食事がつかえる=食道がん?似た症状を起こすアカラシアとは

ジャーナリスト・コメンテーターとして活躍されていたモーリー・ロバートソンさんが、食道がんで亡くなられたことをきっかけに、「食道がん」という病気に改めて関心を持たれた方も多いのではないでしょうか。

食道がんの代表的な症状のひとつに、「食事がつかえる」「飲み込みづらい」といった違和感があります。
では、食事がつかえると感じた場合、それはすべて食道がんなのでしょうか。

実は、同じような症状を起こす“別の病気”も存在します。そのひとつが食道アカラシア(アカラシア)です。
比較的まれな病気で、聞き慣れない方も多いかもしれませんが、食道の動きに異常が生じることで、食べ物や飲み物が通りにくくなる病気です。

そこで今回のブログでは、アカラシアについて解説します。
「食事がつかえる」と感じたときに、どんな病気の可能性があるのか正しく知っておくためにも、ぜひ最後までご一読ください。

 

アカラシアとは?

アカラシアは、食道の動き(ぜん動運動)が低下し、胃の入り口の筋肉(下部食道括約筋)がうまく緩まなくなってしまう病気です。

通常、食べ物は食道のリズミカルな動きによって、スムーズに胃へ送り込まれます。さらに、胃の入り口の筋肉もタイミングよく開くことで、食べ物が自然に通過できる仕組みになっています。

しかしアカラシアでは、この動きが弱くなったり、胃の入り口がうまく開かなかったりするため、食べ物や飲み物が食道にとどまりやすくなります。
その結果、「つかえる感じ」や「飲み込みづらさ」といった症状が現れます。

この病気は10万人に1〜2人とされる比較的まれな疾患です。発症は20〜60代に多いとされていますが、若い方でも発症することがあります。
原因ははっきりとわかっていませんが、食道の動きをコントロールする神経の異常(変性)が関係していると考えられています。

主な症状は?

最初は軽い違和感として始まることが多く、食事がつかえる感じや、固形物だけでなく液体も飲みにくいといった症状がみられます。
さらに進行すると、食後に食べ物や飲み物が逆流したり、夜間にむせたり咳き込んだりすることもあります。また、胸の違和感や不快感、痛みを感じることもあります。

症状は比較的ゆっくり進行するため、「なんとなく食べにくい状態」が長く続くケースもみられます。

 

食道がんとの関係

食道がんとの違いは?

このように、アカラシアでは食べ物や飲み物が飲み込みにくくなる症状がみられますが、「食事がつかえる」という症状は、食道がんでもみられるため注意が必要です。

アカラシアでは、先に述べたように、比較的早い段階から固形物だけでなく液体も飲みにくいと感じることがある一方、食道がんでは、固形物から徐々に飲み込みにくくなり、進行すると液体も通りにくくなることが多いとされています。また、比較的短期間で症状が進行する傾向があり、体重減少を伴うことも少なくありません。

ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、症状だけで明確に区別することは難しい場合もあります。そのため、正確な診断には検査が重要になります。

将来的なリスクについて

アカラシアは、食べ物や飲み物が食道にとどまりやすくなる病気ですが、長期的にみると食道がんの発症リスクがやや高くなることが知られています。

これは、食道内に内容物が長くとどまることで、食道の粘膜に慢性的な刺激が加わり、炎症や細胞の変化が起こりやすくなるためと考えられています。

そのため、アカラシアと診断された場合は、症状の改善だけでなく、定期的に内視鏡検査などで経過を確認していくことが大切です。
特に、長期間にわたって症状が続く場合や、治療後も食べ物の停滞がみられる場合など、長期経過例では、食道の状態を継続的に観察していくことが重要とされています。

 

どんな検査が必要?

主な検査としては、以下のようなものがあります。

  • 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
    食道の粘膜を直接観察し、腫瘍や炎症の有無を確認する検査で、特に食道がんの有無を調べるうえで重要です。
    また、食べ物や液体が食道内に残っていないかといった所見も確認できます。
  • バリウム検査
    造影剤を飲んで、食道の通り方や形の変化を確認する検査です。
    アカラシアでは、食道が広がり、胃の入り口に向かって細くなる「鳥のくちばし状」と呼ばれる特徴的な狭窄がみられることがあります。
  • 食道内圧検査
    食道の動きや筋肉の働きを詳しく調べる検査で、アカラシアの診断をより正確に行うために重要です。症状や他の検査結果に応じて実施されます。

これらの検査によって原因が明らかになった後は、状態に応じて適切な治療が検討されます。
アカラシアは、内視鏡治療やバルーンによる拡張などによって、食べ物の通りを改善することが可能です。症状や状態に応じて治療法が選択され、多くの場合、適切な治療によって症状の改善が期待できます。

 

見逃さないために-受診の目安

アカラシアは比較的まれな病気で、初期には症状がはっきりしないこともあります。そのため、「年齢のせい」や「食べ方の問題」として見過ごされてしまうこともあります。

以下のような症状がある場合は、早めに医療機関で相談しましょう。

  • 「飲み込みづらい」「胸につかえる感じ」が数日〜数週間以上続く
  • 固形物だけでなく、水分も飲みにくいと感じる
  • 食後に食べ物や飲み物が逆流する
  • 夜間にむせる、咳き込むことがある
  • 原因のはっきりしない体重減少がある
  • 胃酸を抑える薬を使っても症状が改善しない

こうした症状がみられる場合、アカラシアに限らず、食道炎や食道がんなど他の病気による狭窄や、食道の動きの異常などが関係している可能性があります。自己判断せず、気になる症状が続く場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。

まとめ

「食事がつかえる」という症状の背景には、食道がんのような病気だけでなく、アカラシアのような機能的な異常が隠れていることもあります。
いずれの場合も、早めに原因を確認し、適切な対応が重要です。

気になる症状が続くときや不安を感じたときは、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関での評価を受けることを検討しましょう。

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