健康診断で「コレステロールが高いですね」と言われたことはありませんか?
コレステロール値が高くなる原因として、食生活の乱れや運動不足を思い浮かべる方も多いと思います。
実際、多くの脂質異常症(高脂血症)は、生活習慣が関係しています。
しかし、中には生まれつきコレステロールが高くなりやすい病気があります。
それが、「家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)」です。
この病気は、遺伝的な要因によってLDL(悪玉)コレステロールが高くなりやすいことが特徴です。
そこで今回は、家族性高コレステロール血症の特徴や一般的な脂質異常症との違い、注意すべきポイントについて分かりやすく解説します。
家族性高コレステロール血症とは?~一般的な脂質異常症との違い~

一般的な脂質異常症は、
- 食べ過ぎや栄養バランスの偏り
- 運動不足
- 肥満
- 加齢
- 糖尿病や甲状腺機能低下症などの病気
が関係して起こることが多く、食事内容の見直しや運動習慣の改善、体重管理などによって数値が改善する場合があります。
一方、家族性高コレステロール血症は、血液中のLDLコレステロールを肝臓へ回収する働きが生まれつき弱いことが特徴です。
本来、LDLコレステロールは肝臓で回収・処理されます。
しかし、この病気ではその働きに関わる遺伝的な異常があるため、血液中にLDLコレステロールが多く残り、若いうちから高値になりやすくなります。
そのため、
「食事に気をつけているのに改善しない」
「若い頃からコレステロールが高い」
という場合には、遺伝的な要因が関係している可能性があります。
若いうちから注意が必要な病気です

家族性高コレステロール血症では、若いうちから動脈硬化が進みやすいことが大きな特徴です。
LDLコレステロールが高い状態が続くと、血管壁にコレステロールがたまり、血管が徐々に狭くなることで動脈硬化が進行します。
特に心臓の血管(冠動脈)への影響が強く、
- 狭心症
- 心筋梗塞
などの病気につながる可能性があります。
一般の方と比べて、心血管疾患の発症年齢が15~20年ほど早いとも言われており、若い年代から注意が必要な病気です。
一方で、若い頃からLDLコレステロール値が高くても、自覚症状がほとんどないことが多いため、健康診断で初めて気づくケースも少なくありません。
また、この病気は、約300人に1人程度いるとされる比較的頻度の高い遺伝性疾患で、決して珍しい病気ではありません。
遺伝が関係するため、ご家族にもコレステロール値が高い方や、若くして狭心症・心筋梗塞を発症した方がいるケースがあります。
次のような方は、一度ご相談をおすすめします
- LDLコレステロール値が高い(目安:180mg/dL以上)
- 若い頃からコレステロール値が高い
- 食事改善をしても数値が下がりにくい
- ご家族にコレステロールが高い方がいる
- ご家族に若くして心筋梗塞・狭心症になった方がいる
- 手・ひざ・ひじ・まぶた周辺に黄色いふくらみ(黄色腫)がある
自覚症状が少ない病気だからこそ、健康診断の数値が重要なサインになることがあります。
健康診断などでコレステロール値の異常を指摘された場合や、ご家族に同じような傾向がある場合は、そのままにせず、一度確認することが大切です。
どんな検査・治療を行うの?
家族性高コレステロール血症が疑われる場合は、まずLDLコレステロール値の確認を行います。
あわせて、
- ご家族にコレステロール値が高い方がいるか
- 若くして心筋梗塞や狭心症になった方がいないか
など、ご家族の病歴(家族歴)も重要な判断材料になります。
必要に応じて、アキレス腱の厚さの確認や、動脈硬化の程度を調べる検査を行うことがあります。
例えば、
- 頸動脈エコー(首の血管の動脈硬化評価)
- 血圧脈波検査(ABI・CAVI)
- 心臓エコー
などで、血管への影響を確認します。
治療では、食事療法や運動療法に加え、必要に応じて薬物療法を行います。
家族性高コレステロール血症では、生活習慣の見直しだけでは十分な効果が得られにくいことも多く、早期から適切な治療を行うことが、将来の心筋梗塞や狭心症などの予防につながります。
まとめ
家族性高コレステロール血症は、遺伝的な要因によってLDLコレステロールが高くなり、若いうちから動脈硬化が進みやすくなる病気です。
自覚症状がほとんどないまま進行することも多く、「コレステロールが高いのは体質だから」と思っていた方が、検査をきっかけに病気と分かるケースも少なくありません。
一方で、早期に気づき、適切な治療を行うことで、将来的な狭心症や心筋梗塞などのリスクを減らすことが期待できます。
健康診断でコレステロール値の異常を指摘された方や、ご家族にも同じような傾向がある方は、そのままにせず一度、医療機関に相談しましょう。








