採血時の注意点

病院と聞くと「怖い」と思うのは小さな子どもだけでしょうか。大人の方でも「注射や採血の針を刺すのが怖い」「血を採られるのが怖い」という人もいるかもしれませんね。
ただ、採血検査は病気の診断や、病状を把握するために必要な医療行為です。身体の中を巡って、すみずみまで酸素や栄養を届けている血液を検査すると、その血液に含まれる細胞や酵素、抗体の数などが分かるからです。また血液を採られると貧血になってしまうと思われるかもしれませんが、人間の身体には、体重の約1/13にあたる血液があるので、通常、採血で必要となる血液の量では貧血になることはありません。

ただ、基本的には安全な手技であるとされている採血でも、まれに合併症を起こすことがあります。頻度は少なく、軽症なものが多いですが下記のような合併症を生じる場合があることも理解しておきましょう。

 

採血時の合併症

止血困難・皮下出血

血液を採取するために刺した血管から血液が漏出し、皮下あるいは体外に過剰な出血が起きることで、血が止まりにくくなることや青あざができることがあります。採血後の不十分な止血操作などで起こりやすくなるので、十分な圧迫止血(5分程度)が必要です。
皮下に漏れ出た血液は個人差がありますがゆっくりと吸収されいずれ消失します。

アレルギー

採血時の消毒薬、スタッフの手袋(ラテックス)などでかゆみや発疹などのアレルギー症状が出現することが あります。 過去に消毒薬でアレルギーが出たことがある方、その他アレルギーで不安な点がある場合は事前に担当医に相談しましょう。

神経損傷

採血後も手指に痛みが拡がり、しびれなどが生じて一定時間経過後も持続することがあります。 約 1 万~10 万回に 1 回の頻度で起こるとされています。皮膚表層近くの神経は個人差が大きいため、神経損傷を100%防止することはできませんが、通常の採血では太い神経の断裂などの可能性は極めて低く、多くは軽度の損傷で ほとんどの場合1週間~3か月以内に改善します。

血管迷走神経反射

神経が興奮している状態で急激に血圧が下がると脳への酸素供給が不足して、めまいや気分不快感、意識消失 などを引き起こします。頻度としては0.01% ~ 1%ですが、心理的不安や緊張によって起こりやすいとされ、 稀に採血前に起こることもあります。ベッドに横になり安静にすることで早期に回復します。
※合併症が起きた場合は最善の処置を行います。なお、その際の医療は通常の保険診療となります。

 

採血時には協力を

採血に間違いがあってはいけません。安全に行うためには患者さまの協力が必要不可欠となります。
当院でも下記のようにご協力を頂いております。

1.本人確認のため、ご自身の氏名をお聞かせください。
 「採血取り間違い防止」のためご協力をよろしくお願いします。

2.次の事項に該当する方は事前に申し出ください。

  • 採血時に気分が悪くなる方
  • 消毒薬(アルコール)や手袋(ラテックス)、絆創膏などにアレルギーのある方
  • 血液をサラサラにするお薬(ワーファリンなど)を服用されている方
  • 血液透析中の方
  • 乳房切除手術を受けられた方
  • その他採血に関して、ご希望やご不安な点があれば何なりとご相談ください。

3.採血中に気分が悪くなったり、しびれや強い痛みを感じたりした場合はすぐにお知らせください。

4.採血前には深呼吸するなどしてできるだけリラックスしましょう。

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