放っておくと怖い糖尿病 ~糖尿病三大合併症とは~

私たち人間の身体にとって、必要なエネルギー源であるブドウ糖。
血液を通して全身へ運ばれ、細胞に入って、筋肉を動かしたり脳を働かせたりと力になるはずが、すい臓から分泌されるインスリンの量が少ない、もしくはうまく働かないと、ブドウ糖が細胞に取り込まれずそのまま血液中に残ってしまいます。
そして血糖の数(血糖値)が高い状態が続くと糖尿病という診断になります。

ただ、すぐに症状がでることは少ないので、あまりピンと来ない方も多いと思いますが、甘くみていると後で後悔することになってしまいます。

 

糖尿病の種類と治療
  • 1型糖尿病 ・・・インスリンを作るすい臓の細胞が壊れ、インスリンが分泌されないことが原因の糖尿病。
  • 2型糖尿病 ・・・食べ過ぎや運動不足などの生活習慣を原因とする肥満などでインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性の悪化)ことにより起こる糖尿病。初期はすい臓からのインスリン分泌は正常もしくは亢進  
    (より多く分泌)しているが、最終的にはインスリンが枯渇して分泌されなくなります。遺伝的な影響もあり両親が糖尿病の方はなる可能性が高くなります。
  • その他・・・遺伝子異常によるもの、もしくはその他の疾患が要因となるもの。
  • 妊娠糖尿病・・・妊娠中に発見された血糖をコントロールする機能の異常により糖尿病に近い状態になる。

特に小児~青年期に多いとされる1型糖尿病は全体の3~5%で治療はインスリン注射です。
そして、40歳以上の中高年に多く糖尿病の95%を占める2型糖尿病の治療は基本的には食事療法と運動療法で、病気の進行によって内服薬やインスリン注射などの薬物療法を行います。
今日は主に2型糖尿病についてお話をしていきます。

 

糖尿病で失明、足切断も少なくない

糖尿病と診断されても自覚症状がなく、通常の生活を送れるからと治療をしない方もいらっしゃいます。
ただ、高血糖の状態が長く続くと、血流が悪くなる、血管が詰まる、傷つくなどして、確実にさまざまな臓器へ影響を及ぼすことになります。
まさに毎年3,000人以上の方が糖尿病性網膜症によって失明しています。
足壊疽によって足の切断を余儀なくされた方は年間3,000人以上。
腎不全になると、腎臓の働きを人工腎臓のフィルターを使って行う人工透析が必要になります。
人工透析療法は、血液から老廃物・余分な水分を取りのぞく治療で長時間をかけて行うことになり、一度開始するとやめることができない永続的治療となります。

 

糖尿病の三大合併症

糖尿病は食事療法がとても大切です。食物繊維も多く低糖質な食材「しめじ」と「えのき」で糖尿病の合併症をしっかり心に留めておいて頂くと良いですね。

 

糖尿病の三大合併症:最小血管合併症は「しめじ」

もともと血管自体がもろい細い血管は、高血糖の影響を受けやすいので、糖尿病になると起こる可能性の高い合併症です。
細い血管で起こる合併症は、神経障害の「し」、網膜症は「目(め)」、腎臓の「じ」、をとって「しめじ」で覚えて下さい。

(し)糖尿病性神経障害・・・手足のしびれ、感覚低下
(め)糖尿病性網膜症・・・視力障害、失明
(じ)糖尿病性腎症・・尿蛋白によるむくみ・腎不全になると人工透析が必要となる

 

動脈硬化がもたらす合併症:大血管合併症は「えのき」

血糖値が高い状態が長く続くと、太い血管も影響を受け動脈硬化を起こします。
動脈硬化で血管がダメージを受けると、直接的に命に関わる病気を引き起こすことになります。
壊疽の「え」、脳卒中の「の」、虚血性心疾患の「き」で、「えのき」と覚えてください。

(え)足壊疽(切断の可能性も)
(の)脳梗塞・脳出血
(き)狭心症・心筋梗塞

動脈硬化 詳しくはこちら→血管年齢を測ってみましょう~血圧脈波検査(CAVI・ABI)とは~

 

糖尿病と診断されたら

糖尿病と診断されても治療をせず血糖をコントロールしないでいると、糖を過剰に含む血液が、身体中のさまざまな臓器を砂糖漬けの状態にしてしまい障害が起こります。
網膜症にかかると失明したり、腎症になると週3-4回血液透析のために通院を余儀なくされるなど、三大合併症になると生活の質(QOL)を大きく損なうことになります。
今、特に症状がないからと言って決して安心してはいけません。
いつ合併症が起こってもおかしくない状況だと意識して、すぐに食事療法・運動療法で生活改善をしましょう。

また血糖値だけでなく、血圧・脂質・禁煙・体重なども含め良好な状態を保つことが大切です。
当院では、患者さんの生活習慣の見直しから、改善のサポートまでしっかり行っていきます。

ページ上部へ