歯周病菌が大腸がんに関係している!?

医学の進歩は目覚ましいものがありますが、残念ながら日本人の3人に1人は、がんで亡くなっています。特に大腸がんは増加傾向にあり、がんの死亡原因の中で男女合わせて2位となっています。(2018年の人口動態統計より)

 

大腸がんの原因

では、なぜ大腸がんは増えているのでしょう?運動不足、肥満、飲酒などがあげられますが、おもに食生活の欧米化が関わっていると考えられています。米を主食とした日本の伝統的ないわゆる“和食”から離れ、大腸に負担がかかる高脂肪分をたくさん取り、野菜類などの食物繊維や穀物などをあまり取らなくなったことは日本人の食生活の大きな変化です。厚生労働省が示す日本人の食事摂取基準(2020版)では、おおむね栄養バランスの範囲は、1歳以上で、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、 炭水化物50~65%を目安・目標量とされています。今から40年前の昭和55年(1980年)はたんぱく質・脂質・炭水化物がバランスよく摂られていました。日本が世界一の長寿国になれたのは、その日本型のバランスの良い食事のおかげだと言われています。対して、現代の食事は米の摂取(炭水化物)が減り、油脂類や肉類が多く摂られており、バランスが崩れています。ここ40年間増え続けていているがん、中でも近年急増している大腸がんはこの食生活の変化が深く関わっているとされています。

 

大腸に歯周病菌を発見

また最近になって、大腸がんに歯周病菌が関係していることが分かりました。その細菌はFusobacterium nucleatum(フソバクテリウム・ヌクレアタム:F.n.)という口腔内の常在菌の一種で多くの人が持っている菌です。F.n.は悪臭(口臭)の原因となる酪酸を生み出す菌で、歯周病の原因菌とされています。

実は2012年以降、F.n.が大腸がんの病態や予後に悪影響をおよぼすという報告例が増え注目されていました。そして2018年に横浜市立大学の研究チームが、大腸癌患者の患部組織と唾液からF.n.を分離・解析した結果、4割以上の患者で癌組織と唾液に共通した菌株が存在していることを発見したのです。まだ現時点では移行・感染ルートなどが不明で詳細の解明が課題ではあるものの、研究で得られた知見からは大腸がんの簡便な診断法や新たな治療法、予防法に繋がる可能性が見出されたということです。

既に知られているように、歯周病が関係している病気は他にも脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症、早産などがあります。食事のバランス同様、歯磨きも丁寧に気を付けて頂きたいと思います。

 

大腸がんの検査

大腸がんの発症は、男女ともに40代から増加、高齢に伴い増え続けます。初期症状がなく気づきにくい大腸がんですが、早期に発見できれば高い確率で完治することも可能です。日本人の死因のトップであるがん、そして増え続けている大腸がんを早期発見するために、40歳以上の方は定期的な検診をお勧めします。

検診法

  • 便潜血検査・・・便に潜む血液の有無を調べる検査、いわゆる検便。

診断法 (日常生活に支障をきたす症状がある場合や検診法で何らかの病気の疑いがある場合)

  • 大腸内視鏡検査・・・肛門から軟らかい管状のカメラ(内視鏡)を挿入する検査法。
  • 大腸CT 検査・・・肛門からガスを注入し、大腸を膨らませてCT 撮影する検査。
  • 大腸X線バリウム検査・・・肛門から造影剤を注入し、空気を注入して大腸を膨らませてレントゲンで撮影する検査
  • 大腸カプセル内視鏡検査・・・カプセル型の内視鏡を口から飲み込んで行う検査。

 

大腸内視鏡検査を詳しく
https://www.seikohkai-hp.com/menu/category/endoscopy/

大腸カプセル内視鏡検査を詳しく
https://www.seikohkai-hp.com/menu/category/capsule-endoscopy/

 

関連ブログ

便潜血検査で陽性と言われたら

内視鏡検査には入院が必要?

大腸ポリープ内視鏡的治療について 「大腸ポリープはお腹を切らずに取れる!?」

ページ上部へ