新型コロナ重症化のリスク~慢性閉塞性肺疾患(COPD)~

日本のコメディアンを代表する志村けんさんが、新型コロナウィルスによる肺炎で亡くなってからもう4ヵ月ほど経ちますね。
志村けんさんがヘビースモーカーだったことは皆さんもご存知のことと思います。
新型コロナウィルスに感染した当時はすでに禁煙されていたということですが、禁煙したからといって、一旦壊れてしまった肺胞が元に戻ることはなく、あくまでも今以上の悪化を食い止めるということになります。

今日は通称“タバコ病”や“たばこ肺”と呼ばれている慢性閉塞性肺疾患(COPD)について書いていきます。

 

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは

通称“タバコ病”とよばれる慢性閉塞性肺疾患。肺気腫の患者さんは慢性気管支炎を伴っていることが多いので両方合わせて慢性閉塞性肺疾患と呼ばれます。
たばこの煙を主とする有害な物質を長期に渡って吸い込むことで起こる肺の炎症性疾患で、慢性的に咳や痰が続いたり、少し身体を動かすだけで息切れしたり、痩せるといった症状がでます。
呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音が鳴る喘鳴の症状が出る場合もあります。

肺気腫

肺の中はたくさんの仕切り壁があって、仕切られた一つ一つは肺胞と呼ばれています。
肺胞がたくさん集まって肺なのですが、仕切り壁が破壊されて隣の肺胞と合わさってひとつの袋のようになってしまい、大きくなった肺胞はまた隣の肺胞を壊して大きくなっていきます。
大きくなればなるほど弾力性がなく、空気が溜まったままの状態になるので、吸い込んだ息を吐き出しにくく、息苦しくなります。
壊れてしまった仕切り壁が元に戻ることはないので、肺で行われる酸素と炭酸ガスの交換が上手くいきません。

その主な症状は呼吸困難であり、その終末像はあまり知られていませんが少し動いただけでも息切れをするという生活の質を著しく低下させるものであります。
筆者の経験した慢性閉塞性肺疾患の患者様にもそのような呼吸困難に陥ってしまう事を知らなかったため、そこまでの苦しい思いをするのであれば喫煙しなければよかったと後悔されていた方が沢山おられました。

慢性気管支炎

人が吸い込んだ新鮮な空気は肺や肺胞まで気管支を通して届けられます。また気管支は外気に混じって入ってきた異物を“たん”として排出する働きもしますが、気管支の壁に炎症が起きると粘液の過剰な分泌により、せきの原因になったり、気道の壁が厚くなることで狭くなり息苦しくなってしまいます。

 

世界で4番目に多い死亡原因

世界保健機関(WHO)によると慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2015年の世界全体で4番目に多い死亡原因となっています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因の多くは喫煙です。
日本では禁煙の飲食店が増え、禁煙外来も保険が適用になるなど禁煙化が進んでいますが、世界的には発展途上国で喫煙率が上昇していることから今後、世界の死因の第3位になると予想されています。

また喫煙が原因ということもあり慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が肺癌になる確率はそうでない患者の5倍と言われています。

 

今こそ禁煙のススメ~新型コロナウィルスの重症化防ごう~

慢性閉塞性肺疾患(COPD)が、新型コロナ感染症を重篤化させる因子とするとした論文が様々な国の査読付きジャーナルで発表されています。また世界保健機関(WHO)も喫煙により重症化のリスクが高まるとして、禁煙を強く推奨する声明を出しています。

withコロナの時代と言われるように、私たちは今後もコロナウィルス感染には注意を払っていかなければなりません。たばこを吸われる方は、この機会に禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。当院ではオンライン診療も行っています。

 

詳しくはこちら→ やめたいけどやめられない、禁煙が難しいのはなぜ?

ページ上部へ