アニサキス食中毒に注意

コロナ禍が続くままに突入した2022年ですが、今年は寅(とら)年だけに、さまざまなことにトライして充実の一年になりますように。今年も宜しくお願い致します。

 

 

 

 

さて、お寿司やお刺身などの生魚を食す習慣がある日本人は、食中毒になる可能性が諸外国と比べてとても高いという事実をご存知でしょうか。その食中毒の中でも最も多い原因がアニキサス。生魚を冷凍や加熱するとアニキサスを死滅させることはできるものの、冷凍や加熱により生魚の色味や食感が変化してしまうということで、アニキサスは水産業界の悩みの種になっています。近頃、某水産加工品メーカーが電気を流してアニキサスを殺虫する世界初の装置を開発したというニュースを耳にしましたが、素晴らしいトライですね。ただ、新技術が広く実用化されるまでにはまだ少し時間がかかると思いますので、まずはアニキサスについて皆さんに知っておいて頂きたいところです。

 

 

 

◼︎アニキサスって何?

 

アニキサスは生きた魚介類の内臓に生息している、長さ2~3㎝、幅は0.5~1mmくらいの白い少し太い糸のような寄生虫(線虫)の一種です。本来、アニキサスはイルカやクジラなど海洋に生息する哺乳類の胃に寄生している生物ですが、幼虫の時期は魚介類に寄生しています。

 

 

 

なぜ幼虫の時期に魚介類に寄生するかを少し詳しくお話すると、寄生虫であるアニキサスは、クジラやイルカ等を最終宿主としますが、クジラやイルカの中で産まれた卵は、フンと共に海に排出されます。海水中で卵がふ化して生まれた幼虫は、中間宿主であるオキアミ等の小さな甲殻類に食べられ、その甲殻類を主食とするサケやサバなどの小型の魚に捕食されることで魚介類の体内に寄生するというわけです。この段階の魚介類を人間が生食し、胃や腸などの内壁にアニキサスが入り込むとアニキサスの食中毒になります。

 

 

 

◼︎原因になりやすい食品

 

サバ、サンマ、アジ、イワシ、ヒラメ、サケ、カツオ、イカ等の海産魚介類の刺身、冷凍処理をしていないシメサバなどの加工品が原因になりやすい食品です。

 

 

 

◼︎アニキサス症の症状

 

アニキサス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒を引き起こします。アニキサス中毒症のほとんどは急性胃アニキサス症です。

 

 

 

・急性胃アニキサス症

 

食後数時間~10数時間後に、みぞおちに激しい痛みを感じます。さらに、悪心、嘔吐を生じることもあります。

 

 

 

・急性腸アニキサス症

 

食後10数時間後~数日後に、激しい下腹部の痛み、腹膜炎症状等をもたらします。

 

 

 

●その他

 

・消化管外アニキサス症

 

かなり稀ですが、感染したアニキサスが消化管突き破り、腹腔内に出て寄生してしまうもので、寄生した部位によって症状が異なります。

 

 

 

・アニキサスアレルギー

 

アニキサスに対するアレルギー反応です。蕁麻疹、血圧低下、呼吸不全、意識消失などの症状を伴う場合もあります。国内のアナフィラキシーショックの原因として、アニキサスアレルギーも多く、決しては珍しくありません。

 

 

 

※アニキサスアレルギーは死骸でも発症する可能性があり、冷凍や加熱してアニキサス幼虫が死滅していても起こることがあります。

 

 

 

◼︎アニキサス症の検査と治療

 

  • 胃アニキサス症が疑われる場合は、胃内視鏡検査(胃カメラ)で胃粘膜に刺入したアニキサスを探して、確認できた場合はその場で鉗子を用いて摘出します。
  • かなり稀ですが腸アニキサス症が疑われる場合は、必要に応じて、腹部超音波検査(エコー検査)や大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行うこともあります。
  • 腸アニキサス症や消化管外アニキサス症が疑われる場合は、血液を採取して血清検査を行い、抗アニキサス抗体を調べます。
  • アニキサスアレルギーの場合は、速やかにアナフィラキシーの治療を行います。

 

 

 

食事をした直後など、すぐに胃内視鏡検査(胃カメラ)が行えない場合には、超音波検査(エコー検査)やCT検査など行います。いずれにしても内視鏡検査によってアニキサスを確認して発見できれば、除去することで症状が改善するのでそれが一番の治療となりますが、内視鏡検査が行えない場合は、胃薬、痛み止め、アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬やステロイドを用いて症状を緩和する治療を行います。現在のところ、アニキサスの幼虫に対する効果的な駆虫薬は開発されていません。

 

 

画像1.アニキサス摘出前

 

画像2.アニキサスを摘出している様子

 

画像3.アニキサス摘出後

 

 

 

◼︎アニキサス症の予防方法

 

  • 加熱する。

 

60℃で1分、70℃では瞬時に死滅します。

 

 

 

  • 新鮮な魚を選び、氷や保冷剤で冷やした状態で持ち帰り、すぐに内臓を取り除きましょう。

 

※アニキサスは主に内臓の表面に寄生していますが、鮮度の低下や時間経過とともに筋肉(可食部)内へ移動する場合があります。

 

 

 

  • 目視で確認。

 

調理の際、断面や表面をよく見てアニキサスを発見、除去しましょう。

 

 

 

  • 冷凍する。

 

-20℃で24時間以上冷凍すると死滅します。

 

 

 

★調味料ではアニキサスを予防できないので注意しましょう★

 

酢や塩、しょうゆやワサビではアニキサスは死滅しません。

 

 

 

関連記事

 

内視鏡検査には入院が必要?

ページ上部へ