オミクロン株対応ワクチンについて

新型コロナウイルス第7波が続く中、厚生労働省は、オミクロン株対応ワクチン接種開始の方針を決めました。対象者は2回目までの接種を終えた12歳以上のすべての人としています。早ければ9月半ばにも、まずは現在行われている4回目接種の対象となっている高齢者や医療従事者等のうち、まだ接種を受けていない人から、オミクロン株対応ワクチンに切り替えて進めていく予定としています。

 

オミクロン株対応ワクチンとは?

今回のオミクロン株対応ワクチンは、これまでのワクチンとどう違うのでしょうか。まず、mRNAワクチンの仕組みですが、新型コロナウイルスの設計図のような遺伝子情報を投与し、新型コロナウイルスと同じスパイク蛋白を細胞内で作りだすことで、免疫がつくられ、新型コロナウイルスの感染や重症化を防ぐというもの。これまでのワクチンは、その設計図のような遺伝子情報が、新型コロナウイルス流行初期の株に由来するものでした。新型コロナウイルスは、これまでにアルファ株やデルタ株など変異を続け、現在、オミクロン株が流行しており、これまでのワクチンでは、重症化を防ぐ効果はあるものの、感染を防ぐことが難しくなってきました。そこで、これまでの株とオミクロン株(BA.1)の両方の遺伝子情報をもったワクチン(=2価ワクチン)で、感染予防効果を高めようと接種開始されるのがオミクロン株対応ワクチンです。

mRNAワクチンについては過去のブログを参照ください。

新型コロナワクチンは接種した方がいいの?

 

これまでのワクチンは効かないの?

従来のワクチンで新型コロナウイルスの発症予防効果があることは、オミクロン株が流行する前については周知のとおりですが、オミクロン株に対しても、12歳以上に使用するワクチンについては、従来のワクチンで発症予防効果があることはさまざまな研究の中で報告されています。5~11歳に使用するワクチンについても、一定の入院予防効果が確認されています。また、WHO(=世界保健機関)によると、オミクロン株を含むすべての新型コロナウイルスに対する重症化予防効果は、従来のワクチンにおいても高いとしています。

 

BA.5対応ワクチンじゃなくて大丈夫?

オミクロン株は、同じ株分類の中でも遺伝子配列が異なる亜系統(BA.1~5など)を多く持っています。日本が導入を決めたオミクロン株対応ワクチンは、コロナウイルス流行初期の株と、オミクロン株の一つ「BA.1」の2種類を合わせた2価ワクチンです。オミクロン株には、BA.1~5などの亜系統があり、BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、、、たしか現在流行しているのはBA.4やBA.5では?と思った方もいらっしゃるでしょう。そうですね、現在、ファイザー社及びモデルナ社は、オミクロン株対応ワクチンとして、従来型ワクチンとBA.4やBA.5を混ぜた2価ワクチンも開発中です。海外ではその「BA.4/BA.5対応型」の2価ワクチンの導入を検討、予定している国もありますが、厚生労働省では、従来型と「BA.1」の2価ワクチンの導入を決めました。理由として、まず第一にオミクロン株の中での亜系統間の抗原性の差が大きくなく、現在流行しているBA.5に対しても効果が見込まれること。そして、オミクロン株が主な流行株となっている日本の現状から、なるべく早くオミクロン株対応ワクチンに切り替えることが妥当であり、いち早く利用が可能な「BA.1」を選択したということです。

従来のワクチンとオミクロン株対応ワクチンの中和抗体(体内に入ったウイルスの活動を抑える抗体の値)を各社がアメリカのFDA(=食品医薬品局)に臨床試験の結果として下記のように報告をしています。

ファイザー社:BA.1に対し、1.56倍から1.97倍。BA.4とBA.5についてはBA.1よりも低い。
モデルナ社:BA.1で平均1.75倍。BA.4、BA.5でも平均1.7倍。

 

オミクロン株対応ワクチンの接種対象者

初回接種(1・2回目接種)を終了した全ての12歳以上の人が対象となる見込みです。4回目の接種対象者から優先して始めるとされていて、4回目接種は現在、3回目接種から5カ月以上が経過した、①60歳以上の方②18歳以上60歳未満で、基礎疾患がある人や重症者リスクが高いと医師が認める方、医療従事者等及び高齢者施設等の従事者となっています。

 

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