これまでに新型コロナウイルスに感染した人の累計が600万人を超え、700万人に近づいています。当院では、コロナウイルスのワクチン接種を行っていますが、その際によくご質問いただくのが「最近コロナに感染したがワクチンを打ってもいいかどうか」ということです。確かに、ワクチン接種の予約はしたものの、コロナウイルスに感染したことが分かった場合など「このままワクチンを打っても良いのか」「打つ場合はどれくらいの期間をあけて受けたら良いのか」が心配になりますね。そこで今日は、コロナウイルス感染後のワクチン接種について、現時点での厚生労働省の見解や世界の動向と共にお伝えしたいと思います。
◆ 新型コロナウイルスに感染してもワクチン接種は可能
厚生労働省は新型コロナウイルスに感染した方も、初回接種、追加接種に関わらず、ワクチンを接種することは可能としています。次のような理由によるものです。
- 新型コロナウイルスに一度感染しても再度感染する可能性があること
- 自然に感染するよりも、ワクチン接種の方が新型コロナウイルスに対する血中の抗体価が高くなること
- 多様な変異に対する抗体も産生されること
アメリカの感染症対策の総合研究所、CDC(疾病予防管理センター)は、コロナ感染後の症状が長引いている人も含めて、5歳以上のすべての人にワクチン接種を推奨しています。コロナ感染後のワクチン接種が、その後に感染に対しても防御力を高めるというエビデンスが蓄積されつつあるからです。カナダ政府も、感染歴のある人においてもワクチン接種を受けるべきとしています。
◆ コロナ感染後、ワクチン接種するならいつ?
では、新型コロナウイルスに感染してから接種するまでどれくらいの期間をあけるのが良いのかということですが、初回接種、追加接種にかかわらず、感染してから体調が回復すれば、ワクチン接種が可能としている厚生労働省。
感染歴のある方の追加接種については、暫定的ではありますが、感染してから接種までの間隔は3ヶ月を一つの目安にしましょうとのことです。3回目の接種については現時点で2回目接種から6ヶ月経過した方が対象ですから、例えば2回目接種から4ヶ月後に感染し、その後回復した場合、7ヶ月後が追加接種の一つの目安となります。
これらの目安は諸外国の動向や現時点で得られている科学的知見等を踏まえて、厚生労働省の審議会で議論された結果です。体調が回復して、ご本人が速やかに接種を希望される場合は、必ずしも一定期間をあける必要はないとされています。
イギリスでは、コロナウイルス発症または陽性と確認されてから4週間以上経過後にワクチン接種するべき、WHO(世界保健機関)は、感染後半年以内の再感染はまれであることから、感染が確認されてから半年程度はワクチン接種を遅らせることができるとしています。
◆ コロナ感染後、3ヶ月が一つの目安
3ヶ月を目安にする理由ですが、コロナウイルスに感染したということは、免疫を獲得し、抗体ができるので、すぐに再度コロナウイルスにかかるということは考えにくいことがあげられます。ただ、その状態もある程度の期間が経ち、だんだんと抗体の量が少なくなり、新型コロナウイルスに感染しやすくなります。要するに、現時点での私見ですが、コロナにかかった後は、慌ててすぐにワクチン接種しなくてもコロナウイルスに感染しにくい状態だけれど、抗体価が下がって感染する可能性が出てくるので、3ヶ月後を目安に追加接種は受けた方が良いということになります。
ただ、あくまでも3ヶ月は一つの目安であり、感染後の体調回復の状況は個人によって感じ方もさまざまかと思いますので、いつ打てば良いか迷われる方は、医療機関を受診して相談しましょう。
関連記事