動脈硬化が見える頸動脈エコー

「人は血管とともに老いる」昔からよくそう言われます。確かに、生きているということは心臓が動いているということで、心臓は収縮と拡張を繰り返し、ポンプのように血液を送り出すーそう、血管を通して。普段の生活で血管を意識することはあまりないかもしれませんが、血管は全身に血液を運ぶため常に働いています。そして驚くべきことに小さな毛細血管まで含めると血管の長さは約10万キロメートル、地球を2周半するほどなのです。血管の老化については、個人差はあるものの加齢にくわえて、高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・アルコール摂取・ストレスなどの要因により進むとされています。

 

血管が老いるってどういうこと?

血管は、血液の通り道で、3種類に分けられます。心臓から出た血液が全身に酸素や栄養素を運ぶため動脈と、老廃物や二酸化炭素を回収して心臓に戻るための静脈、動脈から枝分かれした毛細血管の3つです。動脈の血管には、心臓から押し出された血流の衝撃を受け止めスムーズに血液が流れるよう柔軟性が求められますが、その血管の壁が分厚くなって硬くなり、しなやかさがなくなることを動脈硬化と言います。動脈硬化は血管の老化現象です。動脈硬化が進行し、血管がつまったり細くなったりすると心臓に負担がかかり心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳卒中などを引き起こす危険性が高まります。

 

血管の老化=動脈硬化を調べる頸動脈エコー

動脈硬化の有無や進行具合を最も簡単に画像で直接観察できる頸動脈エコー。首には、脳へ血液を送るという重要な役割をもつ血管があります。その首部分に超音波(人間の耳には聞こえない高い周波数の音波)をあて、反射した波から動脈硬化の程度を調べる検査。放射線の被ばくがなく、痛みもありません。具体的には仰向けに寝た状態で首にゼリーを塗り、プローブと呼ばれるこぶし程の超音波を発する装置をあて、跳ね返った反射が画像化されたものをモニターで確認します。

また動脈硬化について、手足の血圧や脈波から動脈の硬さや詰まりを診断する血圧脈波検査(CAVI・ABI)もあります。詳しくはこちら

血管年齢を測ってみましょう~血圧脈波検査(CAVI・ABI)とは~

 

頸動脈エコーで何を見る?
  • 血管の壁を観察して動脈硬化の有無を確認
    3層(内膜・中膜・外膜)からなる頸動脈のうち、内膜と中膜を合わせた内中膜複合体(IMT :Intima Media Thickness)の厚さを測り、動脈硬化の有無を調べます。頸動脈のIMTが1.1mmを超えると動脈硬化と診断され、同じように全身の動脈硬化の進行も進んでいると考えられます。加齢とともに厚くなるIMTですが、通常の老化による動脈硬化では1.1mmを超えることはありません。
  • つまり具合を観察
    頸動脈の血管腔は通常5~9mm。動脈硬化があると血管がつまったり、狭くなったりします。
  • プラークの観察
    動脈硬化が進行すると、プラークと呼ばれる異常な組織、かたまりができやすくなります。またそのプラークが破裂して血栓となり、血管を詰まらせ脳梗塞を発症する可能性があります。プラークの大きさや形状、表面、内部の硬さなどを観察し、治療方針の検討を行います。

 

頸動脈エコー検査のススメ

自覚症状がなく、サイレントキラー(沈黙の殺し屋)と呼ばれる動脈硬化。早期発見により、生活習慣の改善や治療を行うことで命の危険を回避することができます。動脈硬化の原因と言われる糖尿病・脳卒中・脂質異常症・心臓病・高血圧・肥満の症状がある方は、頸動脈エコー検査で現状の把握や改善策と向き合って頂きたいですね。あわせて、血圧脈波検査(CAVI・ABI)も受けられると良いと思います。

 

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